たとえ学生であっても、20歳を過ぎた人は国民年金に加入して毎月年金保険料を納付する義務が発生します。ただ保険料は決して安くありませんので、学生には大きな負担となることが多いでしょう。将来の年金制度が危ぶまれる中で、余裕のない学生の内に年金保険料を支払うべきなのでしょうか。今回は、学生が国民年金と賢く付き合う方法と、学生だけが利用できる特例制度についてご説明します。
20を超えた学生の国民年金事情
学生の国民年金の納付状況は?
学生の国民年金の納付状況は実際どのようになっているのでしょうか。平成26年の厚生労働省の調査によると、学生の納付状況は以下のようになっています。
〈学生の国民年金保険料納付状況(平成26年)〉
学生で国民年金の保険料を納付しているのは全体の約2割、まったく納付せず未納状態となっている人が約1割います。後の7割弱は、免除、あるいは特例制度による猶予措置を受けており、中でも大多数の人が学生納付特例制度というものを利用していることがわかりました。
学生が保険料を支払うのは損?得?
結論から言えば、保険料を支払わないままでいるのはデメリットしかありません。現状、保険料を支払っても将来年金をもらえるか分らないという話がよくされていますが、国民年金の保険料を支払う意味は老後の年金だけではないからです。
現役時代にも関係する年金制度
国民年金に加入することで、怪我や病気などで障害が残ってしまった場合に障害年金という給付が毎年支給されるようになります。また該当するケースは多くないかもしれませんが、学生本人が一家の働き手で万が一のことがあった場合、残された遺族(子や配偶者)に遺族年金が支給されるのです。ただし、これらの年金は以下の条件を満たさないと受けることができません。
・加入期間の内3分の1以上が未納状態でないこと
・過去1年に保険料の滞納がないこと
学生の場合、加入期間がまだ短い場合が多いので未納期間が少しでもあると資格から外れてしまいます。これらの条件は後でご説明する猶予制度を利用しても満たすことができますが、何の手続きもせず未納状態でいると一切の年金給付を受けることができなくなります。人生何が起こるかわかりません。広い視野で考えれば学生だからといって未納状態でいるのは非常に損をすることになるのです。