国民年金の保険料納付は加入者の義務となっていますが、経済的に支払いが難しい人のために、納付の猶予制度が設けられています。猶予を受けるには一定の手続と条件が必要となりますのでしっかりと確認しておきましょう。

国民年金の保険料の猶予とは?

国民年金の保険料納付は待ってもらうことができる

国民年金の保険料は毎月決まった額を払う必要がありますが、経済的に支払うことが難しい場合には納付を無期限で先延ばしにしてもらうことができます。つまり納付の猶予制度が損座するのです。猶予された加入期間は未納扱いにはなりません。したがって受給するのに必要な納付期間である受給資格期間としてカウントされます。また障害年金や遺族年金を受給することもできるので、未納のままでいるより多くの恩恵を受けることができるのです。この猶予制度の対象となるのは20歳から49歳までで、本人および配偶者の前年所得が一定以下の人となります。

納付猶予の審査方法

実際に猶予されるかどうかは、申請した人の経済状況で決まります。審査の際には、本人、配偶者の内、最も所得の高い人の所得が審査の対象となります。猶予ではなく免除制度を利用する場合、親などの世帯主の所得も審査対象になるので、それに比べれば審査に通る可能性は高いと言えるでしょう。

猶予になる基準

所得の基準と計算方法

猶予制度を利用するには、本人または配偶者が一定の所得基準以下である必要があります。その所得を計算する式は以下通りです。

〈納付猶予を受けられる所得計算〉
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

例えば独身で子どもがいない場合、扶養家族はいませんから以下の計算式になります。

(0+1)×35万円+22万円=57万円

つまり所得が57万円以下の場合は猶予を受けられることになります。これに家族が1人増えるごとに35万円ずつ基準が引き上げられることになりますので、夫婦2人なら92万円、子どもが1人生まれたら127万円となります。なお、ここで指す所得とは給与所得から給与所得控除を差し引いた額です。給与所得控除は最低65万円ですので、57万円と合算した122万円までの収入であれば、確実に猶予制度を受けられることになります。